暗闇のなかを歩いていく


涼しくなった。触れる外気が肌寒く感じる程に。闇に押し潰されるように感じる空間の天井には手が届かない。月は曇っているせいで無い。
閉塞は感じる。それでも、手は届かないのだ。

天下と似ている…と、ふと思う。あと、ほんの数える程の所まで来た。それでも、手には入っていない。
焦れている…そう思った。自分の年のせいかもしれない。あと何年、生きられるのか。50まであと幾つも無くなった。
…老いるとはこういうことか、と実感する。焦れている。
早く早く早く早く早く早く早く……

敵は何処だ、天皇家は?義昭をどうする。誰を捨て、誰を生かすか。
全て己の手の内にある。
それすらも、まどろこしく、手に余るように感じるようになった。


昔の激情は冷たさに凝固してまた新しい激情を生む。







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たまには信長視点。