これは誰の罪、彼の罪?それとも騙された私が悪いのか。騙されたのは彼の方だったのか。それすらも曖昧に成ってしまった。切っ掛けなど遠に忘れてしまった。



闇に濡れた業を背負って貴方は今日も抱いていく

「辛くは無いか?」
浸と深い夜の闇にスッと響く声。
信長様こそ…と私が答えると少しの間が在ってから身体なら大丈夫だ、と返って来た。
「身体のことではないですよ」
私がそう答えると、いかにも訳が解らないという風に顔をしかめる。
「気付いて無いのなら、良いのです」
今はまだ。気付いたらきっと、持て余して手に負えない。疲れていることを知らない方が…気付かないでいる方がどれ程意識を持って行かれずに済むか。

「信長様」
そう呟くように言うと、光秀は信長にくちづけた。
(熱い…)
貴方のくちびるが、ちしおが、貴方の心に燃盛る情熱によって熱くなっている。平然を装っても隠し切れない。
キスは段々と深いものに成って行き、下敷に成っている少し荒れた布団に倒れ込んで戻って行くのだ。