初めて会った戦場で、俺は感嘆の溜息をついた。
輪刀を持ち、戦場を舞う。
その舞ったあとに倒れるのは、自軍の兵士なのに、それを忘れるほどに美しく見惚れてしまう。
浴びた返り血も美しい花のように見せて、舞う者を引き立てているように見える。俺は病気かもしれない。
けれど、その将は驚くほど無表情で。
(笑うこたぁなくとも、険しい表情くらいはして普通じゃねーのか?)
感情が無いのかとか、あれが人を殺しすぎたものの末路かとか、それは人としてどうなのかとか。
それでも(笑ったアイツの顔が見てみてえ)とか思ってしまう、俺。
(やっぱり病気かもしれない)
それは、海図も無しに海に出る感覚と似てるかもしれない。
「毛利元就…」
元親は青空の下、船の上しゃがみこんで赤面してしまった。