衣を脱げば筋肉質な白い肢体が目に付く。雪の色を吸ったようなその肌は女が羨む弾力と肌理こまやかさを兼ね揃えていて美しい。
けれどその美しさは触るとひどく熱くその色に似つかわしくないといつも思う。いつかその肌が溶けてお前が消えてしまうようで恐ろしい。と言ったら寝言は寝て言え、と一蹴された。
道標
「お前の身体にはいつも傷があるな、生生しくて見ていられんよ」
俺がいうと呂布はほとんど無表情にいう。けれどそれも、最初に比べたら、かなりマシになったと思う。
「俺は強くなりたいんだ」
「強くなるったって、他に方法があるだろ。少なくとも身体中傷だらけで、目もあてられない…見てるだけで痛々しいなんてことにはならんだろう。」
そもそも彼は元から強過ぎて同年代では相手にならず、ずっと10程年上とばかり鍛錬という名の競合いをしているからだとも思ったが、それは飲み込む。
「そんなことお前にはどうだっていいだろう」
相手が俺でなければ鉄拳でも飛んで来そうな勢いに(おっと、これは自惚れか?)俺は茶化すように呂布を我が腕の中に抱き締めてしまう。
「! こっ…高順…!」
顔が真っ赤だ。かわいい。
そして俺は耳元でこう囁く。
「お前が傷だらけで帰ってくるの、見てられないんだ。」
俺は、お前が消えてしまいそうで怖いんだ。
それこそその傷が元で死ぬようなことがあれば、俺はどうやって生きればいいのか 見失ってしまうよ。